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【心不全】心不全の原因となる病気について知る

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日本ではおよそ100万人もの人がかかっているといわれる「心不全」。

 

心不全」とは、日本循環器学会と日本心不全学会が合同でまとめたガイドラインによると

心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気」

とされています。

 

ひとことで「心臓が悪いために」となっているのですが、
具体的にはどんな病気が心不全の原因になるのでしょうか?

 

2017年に改訂された急性・慢性心不全診療ガイドライン2017の内容を
わかりやすくまとめます。

参考急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版) – 学会支援機構

 

★どんな人が心不全になりやすいかについては、「【心不全】心不全になりやすい人の特徴」をごらんください。

【心不全】心不全になりやすい人の特徴
「心不全」は、とても身近でよくある病気です。 そして、これまでの研究から、 どんな人が心不全になりやすいのか ということが、ある程度分かっています。 何となく、どんな人が心不全になりやすいのかは気になるね 自分が心不全になりやすい人に当ては

 

■目次

心不全の原因となる病気

大きく分けると、心不全の原因となる病気は

心筋(心臓の筋肉)の異常による心不全
血行動態(血液の流れ)の異常による心不全
不整脈による心不全

の3つに分けられます。

[chat face=”profile-nico100.jpg” name=”YURALICA” align=”left” border=”red” bg=”red”] ちょっとむつかしい言葉が多いので、順を追って説明します。[/chat]

 

①心筋の異常による心不全

「心筋の異常」とは、心臓の筋肉(心筋)

  • 何らかの理由で伸びきって動きがわるくなったり
  • 硬くなったり

することで、心臓がうまく働かなくなることです。

 

「何らかの理由」として、
ガイドラインには以下のようなものがあげられています。

 

虚血性心疾患(きょけつせいしんしっかん)

虚血性心疾患とは、

動脈硬化などによって心臓の周りの血管(冠動脈;かんどうみゃく)が傷んでしまい、心臓の筋肉に血液が流れなくなって起こる病気です。

虚血性心筋症,スタニング,ハイバネーション,微小循環障害が、心不全を起こす代表的な病態です。

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心筋症(遺伝子異常を含む)

生まれつき、もしくはストレスやおくすりなど、何らかの原因で、
心臓の筋肉そのものが傷んでしまう病気です。

  • 肥大型(ひだいがた)心筋症
  • 拡張型(かくちょうがた)心筋症
  • 拘束型(こうそくがた)心筋症
  • 不整脈原性右室心筋症
  • 緻密化(ちみつか)障害
  • たこつぼ心筋症

などが、心筋症として知られる主な病気です。

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心毒性物質など

心毒性物質(=心臓に悪さをする物質)を身体に取り込むことで、心臓の筋肉が傷んでしまうものです。

心毒性物質として知られているものには、下のようなものがあります。

・習慣性物質
アルコール,コカイン,アンフェタミン,アナボリックステロイド

・重金属
銅,鉄,鉛,コバルト,水銀

・薬剤
抗癌剤(アントラサイクリンなど),免疫抑制薬,抗うつ薬,抗不整脈薬,NSAIDs,麻酔薬

・放射線障害

 

感染性

例えばウィルスや細菌などが感染することで心臓の筋肉が傷んでしまって、心不全が起こります。

心筋炎
ウイルス性・細菌性・リケッチア感染など,シャーガス病など

 

免疫疾患

ある種の膠原病も、心臓の筋肉に病気が及ぶ場合があります。

 

関節リウマチ,全身性エリテマトーデス,多発性筋炎,混合性結合組織病などが
心不全を起こす主な免疫疾患です。

 

妊娠

妊娠も、心臓には負担となります。

 

妊娠によるホルモン変化によって

周産期心筋症
産褥心筋症

といった心臓の筋肉の異常が起こることがありまうs。

 

浸潤性疾患

サルコイドーシス,アミロイドーシス,ヘモクロマトーシス,悪性腫瘍浸潤

 

内分泌疾患

甲状腺機能亢進症,クッシング病,褐色細胞腫,副腎不全,成長ホルモン分泌異常など

 

代謝性疾患

糖尿病などの代謝性疾患は心不全の原因となります。

 

先天性酵素異常

ファブリー病,ポンペ病,ハーラー症候群,ハンター症候群など、
生まれつきある種の酵素が足りないと、心臓の筋肉に異常がでることがあります。

数はそれほど多くはありません。

 

筋疾患

生まれつきの筋肉の病気があるばあい、心臓の筋肉にも病気が及んでいることがあります。

 

筋ジストロフィ,ラミノパチーなどの病気は心臓の筋肉まで侵される代表的な筋疾患です。

 

②血行動態の異常による心不全

血行動態(けっこうどうたい)の異常とは、

心臓の筋肉には大きな異常がないことがほとんどです。

 

例外は高血圧弁膜症を長年にわたって患っている場合です。

この場合は、血行動態の異常が負担となって
心臓の筋肉に影響を与えることがあります。

 

高血圧

血圧が高いということは、血液を押し出す心臓に高い圧力がかかって負担がかかるのです。

 

弁膜症,心臓の構造異常

弁膜症(べんまくしょう)とは、心臓の中を仕切る4つの逆流防止弁のうちのどれか、もしくはすべての弁の

  • 閉まりが悪くなったり(閉鎖不全;へいさふぜん)
  • 弁の部分が狭くなって血液の流れが滞る(狭窄;きょうさく)

ことによって起こる病気です。

この2つが同時に起こることもあります(狭窄兼閉鎖不全症)。

 

弁膜症は、生まれつき(先天性)のこともあれば、加齢などの原因で起こることもあります。

 

心臓の構造異常とは、

  • 心臓の中の壁に穴が開いていたり
  • 心臓に4つあるはずの部屋が2もしくは3つしかない

など、心臓の構造自体に問題がある場合を指します。

心臓の構造異常は、ほとんどの場合生まれつきのものです。

 

・先天性

先天性とは、生まれつきの病気のことです。

先天性弁膜症,心房中隔欠損,心室中隔欠損,その他の先天性心疾患など

 

・後天性

動脈硬化やリウマチなど、また加齢などにより弁の構造が壊れてしまうものです。

大動脈弁・僧帽弁疾患など

 

心外膜(しんがいまく)などの異常

心外膜とは、心臓を包んでいる膜のうち外側にある膜のことです。

心外膜に異常があると心臓がうまく伸び縮みすることができず、
心不全の原因となります。

 

代表的な病気としては、収縮性心外膜炎心タンポナーデがあります。

 

心内膜の異常

心内膜とは、心臓を包んでいる膜のうち内側にある膜のことです。

心内膜に異常があると心臓がうまく伸び縮みすることができず、
心不全の原因となります。

 

好酸球性心内膜疾患心内膜弾性線維症などの病気がこれにあてはありますが、
双方とも比較的まれな病気です。

 

高心拍出心不全

高心拍出(こうしんはくしゅつ)心不全という特殊な病態があります。

これは、心臓自体に異常がないのに、身体の状況から心臓が必要以上に働かされて負担がかかる状態です。

 

重症貧血,甲状腺機能亢進症,パジェット病,動静脈シャント,妊娠,脚気心などが代表的です。

 

体液量増加

本来は尿(おしっこ)やなどとして身体の外に出さなくてはいけない水分が
何らかの事情でうまく出て行かず、心臓に負担をかける病気です。

 

腎不全,輸液量過多などのときに起こる心不全です。

 

③不整脈による心不全

脈拍は、遅すぎても速すぎても心不全の原因となります。

 

頻脈性(ひんみゃくせい)

脈が速すぎて起こる心不全です。

心房細動,心房頻拍(ひんぱく),心室頻拍などの不整脈によって起こります。

 

徐脈性(じょみゃくせい)

脈が遅すぎて起こる心不全です。

洞不全症候群,房室ブロックなどが代表的な病気です。

ガイドラインには記載がありませんが、心房細動で脈が遅くなりすぎても心不全になります。

 

心不全の原因として多い病気

急性心不全の原因としては,最も多いのは虚血性心疾患です。

いずれの調査でも30%を超え,最も多くなっています。
そして、近年の調査では、さらにその割合が上昇しています。

 

その次に多いのが高血圧性心疾患、3番目が弁膜症となっています。

 

こんなに多い虚血性心疾患なのですが、実は日本では欧米と比較すると少ないといわれており、その代わりに高血圧性心疾患の割合が高いことがわかっています。

 

まとめ;心不全の原因は心臓だけではない

ということで、心不全の原因になる病気をまとめてみました。

心臓の病気はもちろんのこと、全身の病気でも心不全を起こすことがあります。

おかしいな、と思ったら早めに一度循環器内科を受診してみましょう。

 

 

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