ここ数年、血圧を管理するにあたって、
家庭血圧(家で毎日測る血圧)
がとても大切である、ということがいわれています。
実際に、外来の患者さんにも、血圧で通院される方のほとんどに、朝と晩の家庭血圧測定をお願いしています。
ただ、実際にやってみると、家庭血圧の測定って、習慣になるまでが結構大変で、手間がかかります。
最初はがんばったけど、「何だか毎日値が違うから、正しいのかどうかわかんない」といってやめてしまう方もいます。
「病院で測ってもらえばいいよ、いつもいい感じの血圧だから~」とおっしゃる方もいます。
どうしてわざわざ毎日朝・晩と血圧を測ることが必要なのでしょうか?
その答えの一つが「血圧の日内変動(にちないへんどう)」です。
■目次
血圧の日内変動って、何?
近年、「24時間自由行動下血圧測定(ABPM)」ということができるようになってきました。
これは文字通り、自動血圧計を24時間装着していただいて、15分おきに血圧を測る、という検査です。
病院によって、検査可能な病院とそうでない病院がありますので、
興味のある方は、主治医の先生に確認してみてください。
この検査が数多く行われるようになってわかったのは、
血圧は1日の中で、時間帯によって変わる
ということです。
これを血圧の日内変動と呼んでいます。
血圧の日内変動のパターン
血圧の日内変動には、いくつかのパターンがあります。
ディッパー型
正常の方の場合の日内変動は、
朝、目が覚める少し前から上がりはじめ、
日中は比較的高めで経過。
夜になると下がり、
寝ているときが最も低くなる。(一番高いときと比べ、10-20%低くなる。)
というリズムを刻んでいます。
このタイプの血圧変動をディッパー型と呼んでいます。
エクストリーム・ディッパー型
ちなみに、夜間睡眠中の血圧が日中の一番高いときと比べて20%以上低くなるような場合は、エクストリーム・ディッパー型と呼ばれます。
ノンディッパー型
正常なディッパー型とは異なり、夜中に血圧が下がらない方がいます。
一番高い日中の血圧からみて、夜間睡眠中の血圧が10%未満しか下がらない
このタイプはノンディッパー型と呼ばれます。
ライザー型
ディッパー型とは逆に、睡眠中の方が血圧が高くなる方がいます。
これらの方はライザー型(もしくはinverted-dipper型)と呼ばれます。
どうして血圧の日内変動の異常が起こるの?
これについては、またはっきりとした結論は出ていません。
いろいろな説がありますので、その一部をご紹介します。
加齢
年を取ると、ノンディッパー型が増えるといわれています。
加齢そのものが、血圧の日内変動の異常を起こす可能性がありそうです。
病気
糖尿病、心不全、腎臓病、睡眠時無呼吸症候群は、ノンディッパー型やライザー型の血圧日内変動異常を引き起こしやすいということがわかっています。
また、脳卒中などの病気の影響で日中の活動量が少ない方も、ノンディッパー型やライザー型になりやすいとされています。
血圧の日内変動の異常があると、どうしていけないの?
ノンディッパー型やライザー型、そしてエクストリーム・ディッパー型では、正常の方(ディッパー型)と比べ、
脳、心臓、腎臓などすべての臓器障害ならびに心血管死のリスクが高い。
ことがわかっています。
とくに、
まとめ
血圧は、1日の間で高い時間帯と低い時間帯があります。
これを血圧の日内変動といいます。
日内変動の異常があると、心血管病などの危険が高まりますので注意が必要です。
血圧自体は日々変わるものなので、多少の数値の変化に一喜一憂するのではなく、一定期間の推移を見守ることが重要!
以上、「【高血圧】「血圧」は1日の中でどう変わるのか?血圧の日内変動について知る」でした。
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