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循環器内科医による労働衛生コンサルタント試験(保健衛生)合格体験記②産業医が労コンを取得する意味

労働衛生コンサルタント
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循環器内科医として20数年、産業医として3年ほど働いた経験のある私ですが、第51回労働衛生コンサルタント試験を受験し、初回受験で合格しました!

なんとか合格しましたが、私は産業医として業務を行ってはいるものの専業ではなく、いわゆる産業医コミュニティには属していないため、情報収集には大変苦労しました。

そこで今回は、私と同じように労働衛生コンサルタント試験を受験しようと考えている医師向けに、労働衛生コンサルタントについてどんな資格なのか簡単に解説するとともに、労働衛生コンサルタント試験を受験するに至った動機と、実際私が行った受験勉強などについて、何度かに分けてまとめてみました。

今回は、産業医として実務を行なっている方はもちろん、産業医としての実務経験がない方にも労働衛生コンサルタントの資格取得をお勧めする意味と、せっかく取得した資格の活かし方について説明します。

■目次

産業医が労働衛生コンサルタントの資格を取得する意義

産業医が労働衛生コンサルタントの資格を取得することには、意外と多くの意義があります。この2つの資格はともに労働者の健康と安全を守るという共通の目的を持ちながら、そのアプローチや専門領域が異なるからです。

産業医が労働衛生コンサルタントとしても活動することで、次のようなメリットが期待できます。

1. 専門知識の拡張

労働衛生コンサルタントの資格を持つことは、産業医としての専門知識をさらに深め、拡張する機会を提供します。作業環境の評価、化学物質のリスク管理、職場のエルゴノミクス、職業性ストレス対策など、労働衛生に関する幅広い分野についての理解を深めることができます。これにより、産業医としての助言やサポートの質を向上させることが可能になります。

 2. 職場の安全衛生管理への貢献

労働衛生コンサルタントの資格を持つことで、産業医は職場の安全衛生管理にさらに貢献することができます。特に、作業環境の改善提案やリスクアセスメントの実施、安全衛生教育の企画と実施など、より具体的かつ技術的な対策を講じることが可能となります。これにより、労働者の健康保護だけでなく、事故や職業病の予防にも積極的に取り組むことができます。

 3. 企業への付加価値の提供

産業医が労働衛生コンサルタントの資格を有することは、勤務する企業や組織に対する付加価値の提供にもつながります。健康管理だけでなく、作業環境の改善やリスクマネジメントにも専門的な知見を提供できるため、企業の健康経営やCSR(企業の社会的責任)活動の推進に貢献できます。

 4. キャリアパスの多様化

労働衛生コンサルタントとしての活動は、産業医としてのキャリアパスを多様化させる機会を提供します。異なる業界やさまざまな職場でのコンサルティング、教育活動、研究など、新たな分野での活躍が可能になります。これにより、自身の専門性をさらに高め、社会的な貢献の幅を広げることができます。

 5. 法規制への対応力の向上

労働衛生コンサルタントの資格取得は、労働安全衛生法をはじめとする関連法規に対する理解を深めることにもつながります。これにより、法規制の変更に迅速かつ適切に対応し、企業が法的な要件を満たすための支援を行うことが可能になります。

労働衛生コンサルタントとして産業医の経験を活かす方法

産業医としての経験は、労働衛生コンサルタントとしての活動において、大きな強みとなり得ます。産業医の経験を活かすことで、労働衛生コンサルタントとしての効果的なアプローチを展開し、職場の健康と安全をさらに向上させることができます。以下に、産業医の経験を労働衛生コンサルタントとして活かす方法をいくつか示します。

 1. 医学的知識を活用する

産業医としての医学的知見は、職業病の予防や職場での健康リスクの評価に直接活かせます。特に、化学物質や生物学的因子など、職場環境によって引き起こされる健康問題に関して、具体的かつ科学的なアドバイスを提供することができます。

 2. 職場の健康管理プログラムの策定

産業医としての経験を基に、労働衛生コンサルタントとして効果的な健康管理プログラムを策定することができます。健康診断の結果を利用したリスク評価や、メンタルヘルス、エルゴノミクスに関するプログラムの開発において、産業医の経験が生かせます。

 3. 緊急事態への対応計画の構築

産業医としての経験は、緊急事態発生時の対応計画を立てる際にも有効です。医学的な知識を活かして、職場での事故や健康被害が発生した際の迅速かつ適切な対処方法を策定し、教育することができます。

 4. 労働者とのコミュニケーション

産業医として培った労働者とのコミュニケーションスキルは、労働衛生コンサルタントとしても重要です。労働者の健康に関する懸念や職場環境に関するフィードバックを効果的に収集し、それを基にした改善策を提案することができます。

 5. 教育プログラムの開発と実施

産業医としての健康教育の経験は、労働衛生コンサルタントとしての教育活動に活かせます。労働者や管理者向けの健康促進プログラム、安全衛生トレーニング、疾病予防セミナーなどの企画と実施において、医学的な知識とコミュニケーション能力を組み合わせることができます。

 6. 法規制とガイドラインの適用

産業医としての経験は、労働安全衛生法をはじめとする法規制や業界のガイドラインに基づいた職場の安全衛生管理体制の構築にも役立ちます。法的な要件に準じた健康管理プログラムやリスクマネジメントの策定に貢献することができます。

産業医が労働衛生コンサルタントになることで、これらの方法を通じて、職場の健康と安全に対するより包括的かつ効果的なアプローチを実現することができます。このような多角的な取り組みは、労働者の健康保護を強化し、より健全な職場環境の創出に寄与します。

まとめ;労コン取得により、産業保健に対する知識の幅が深まる

以上、産業医が労働衛生コンサルタントの資格を取得する意味と資格の活かし方について説明しました。例え試験に合格しなくとも、勉強したことは自身の中に蓄積され、大きな意味を持ちます。少しでも興味が湧いた方は、ぜひ勉強を始めてみてください。

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