キスで感染することがあるので別名「キス病」とも呼ばれる「伝染性単核球症(でんせんせいたんかくきゅうしょう)」。
日本では最近増えてきた病気であり、
今回は、伝染性単核球症の症状について解説します。
★まずは「伝染性単核球症」についてザックリ知りたいよ、というかたは、「キスで感染することがある病気「伝染性単核球症」について知る」もごらんください。
伝染性単核症とは│NIID 国立感染症研究所
伝染性単核球症 | 今日の臨床サポート – 診断・処方・エビデンス –
伝染性単核球症 – 13. 感染性疾患 – MSDマニュアル プロフェッショナル版
■目次
伝染性単核球症(キス病)の潜伏期間はどのくらい?
「伝染性単核球症」がEBウイルスの感染による病気だということは、別の記事で説明しました。
では、EBウィルスに感染してからどのくらいで症状がでてくるのでしょうか?
潜伏期間は、およそ4~8週間程度と長めです。
伝染性単核球症(キス病)の3大症状
「伝染性単核球症」には、特徴的な3大症状があります。
- 発熱(38℃以上)
- のどの痛み(咽頭痛)
- リンパ節の腫れ
です。
では、EBウィルスに感染したすべての人が、この3大症状を経験するのでしょうか?
子どもがEBウィルスに感染した場合は、症状がないことが多い
子供の場合、初めてEBウィルスに感染した場合の発症率は10%以下とされています。
大半の場合は症状がありません。
もし発症したとしても「伝染性単核球症」のような激しい症状が出ることはまれであり、軽い風邪のような症状や咽頭炎・扁桃炎くらいの極めて軽い症状しか出ないことがほとんどです。
したがって、EBウィルスに感染したとしても気が付かないことがほとんどなのです。
思春期以降にEBウィルスに感染すると「伝染性単核球症」になる
それに対し、思春期以降に初めてEBウィルスに感染すると、「伝染性単核球症」として発症することがほとんどです。
38℃を超える発熱やのどの痛み、リンパ節の腫れなどがありますので、気が付かないということはあまりないでしょう。
思春期以降にEBウィルスに感染した場合の症状の典型的な経過
青年期や成人が感染した場合、全身のだるさが1週間程度続いた後に突然38℃以上の高熱とのどの痛みが現れ、1〜4週間程度続きます。
発熱の前に筋肉痛や頭痛、微熱などの症状が見られることもあります。
扁桃炎やイチゴ舌(ぜつ)、発疹などを伴う場合もあります。首のリンパ節が腫れることもしばしばありますが、これらの症状は何もしなくても自然に治まります。
伝染性単核球症(キス病)は、風邪に間違えられやすい!?
「伝染性単核球症」の初期症状は、身体のだるさや筋肉痛、頭痛、微熱です。
これらの症状は一見すると風邪に似ているため、この段階で病院に行くと、ただの風邪と診断されることも多いです。
通常の風邪と異なるのは、1週間たっても症状が治らず、突然38℃以上の高熱やのどの痛みが出てくるという点です。
重症化すると高熱が続きます。
「伝染性単核球症」は、基本的には自然に治る予後良好な病気です。
まれに症状が進行し、重症化することがあります。
- 大抵は1か月以内で治まる発熱が、重症例では2カ月以上続くこともあります。
- 急性肝炎を起こし、黄疸などの症状をきたすこともあります。
- 重症の扁桃炎を起こすと気道がふさがり、呼吸困難となることがあります。
脾臓の破裂には要注意。
非常にまれ(0.1~0.5%)ですが、発症後1~3週の時期に脾臓の破裂を起こして死亡することがあります。
これは、「伝染性単核球症」の50~60%に起こる脾臓(ひぞう)の腫れによるものです。
腫れた脾臓が突然破裂すると、突然の左上腹部痛や左肩痛が出現します。
脾破裂は「伝染性単核球症」にかかってから3週間以内に起こることが多く、4週間以降の発症はまれであるといわれています。
この時期を過ぎるまでは、症状がなくても、身体をぶつけるような激しいスポーツ※は禁止です。
※フットボール、体操、ラグビー、ホッケー、ラクロス、レスリング、飛び込み、バスケットボールなど
伝染性単核球症(キス病)の合併症について知る
「伝染性単核球症」は比較的経過のよい病気で、自然に治ることがほとんどです。
重い合併症としては、数は少ないものの心筋炎や心膜炎があります。
これらにかかると、死に至ることがあり得ます。
また、ギラン・バレー症候群、顔面神経麻痺や無菌性髄膜炎などの中枢神経症状をいたすことがあり、注意が必要です。
神経症状は発症後2~4週 の時期に多いとされています。
EBウイルス感染は、がんの原因になることがある
「伝染性単核球症」の症状が落ち着いた後も、身体の中にはEBウィルスが残ります。
多くは不活化し冬眠状態にありますが、それが何かのきっかけで再活性化したときに誰かとキスをすると、キスをした人にEBウィルスが感染することがあります。
再活性化時に症状がでることはほとんどありません。
EBウィルスの持続的な感染は、バーキットリンパ腫や上咽頭癌、ホジキン病やある種のリンパ腫などの悪性腫瘍(がん)の発生と関係がある とされています。
また近年、慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)およびその類縁疾患が注目を集めています。
まとめ
「伝染性単核球症」は、
❶子どもだとほとんどが無症状
❷大人だと
- 発熱(38℃以上)
- のどの痛み(咽頭痛)
- リンパ節の腫れ
の3大症状が出ることが多い病気です。
最初の症状は、風邪に似ています。
普通の風邪と異なり、1週間以上たってから38℃以上の高い熱を出すことが多いです。
おかしいなあ、と思ったら病院へ行きましょう。
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