[chat face=”man2″ name=”男性の口コミ” align=”left” border=”blue” bg=”blue”]「閉塞性動脈硬化症と診断されたけど、医者からは治療を勧められなかった。」[/chat]
ということが時々おこります。
これってどういうことなのでしょうか?
今回は、閉塞性動脈硬化症の治療について、
- どんな時に治療を行うのか
- どんな治療法があるのか
簡単に説明します。
▼閉塞性動脈硬化症について知りたい方は、コチラからどうぞ。
■目次
閉塞性動脈硬化症って、どんな場合に治療を行うの?
閉塞性動脈硬化症の治療は、一般的には自覚症状がある場合にのみ行われます。
▼閉塞性動脈硬化症の症状についてはコチラにまとめてあります。
たとえ検査所見で血管が詰まっていることがわかっていても、明らかな自覚症状がない場合は、カテーテルやバイパス術などの侵襲的(しんしゅうてき;針を刺したり切ったりするような、身体に負担をかけること)な治療は、原則的には行いません。
(注;もちろん例外もいくつかあります。)
また、薬物療法で症状が良くなれば、合併症の危険性と治療による利益のバランスを考え、それ以上の治療(カテーテル治療・バイパス手術など)は行わないことがほとんどです。
閉塞性動脈硬化症の治療① 運動療法
地味ですが、一番大切な治療法のひとつです。
ざっくりいうと、
歩く→痛くなったらその場で休む→また歩く
を繰り返します。
運動療法の意味
当たり前といえば当たり前ですが…
[chat face=”profile-nico100.jpg” name=”YURALICA” align=”left” border=”red” bg=”red”]運動療法で血管のつまりや狭いところが取れるわけではありません。 [/chat]
では、運動療法は何のために行うのでしょうか?
運動療法は、足りない血流を補うための回り道(側副血行路)を鍛えるためにおこないます。
痛みが出る(=足に血液が足りなくなる)寸前まで歩くと、より多くの血液を運ぶために回り道が発達しやすくなります。
これを繰り返していくと、どんどん回り道が太く、また数が増え、長い距離を歩けるようになるのです。
運動療法の適応
運動療法=歩くことですので、「歩けること」が適応です。
具体的にいうと、Fontaine分類Ⅰ~Ⅱb度の方に最もおススメする治療法です。
▼閉塞性動脈硬化症の症状と分類についてはコチラにまとめました。
Fontaine分類Ⅲ~Ⅳ度(重症下肢虚血)の方にも非常に有効ではあるのですが、やりすぎたり運動で傷を作ったりすると逆効果となります。
①重症下肢虚血の場合は、理学療法士などの専門家のもとで行う監視下運動療法が必要です。
主治医の先生と良くご相談ください。
②整形外科的疾患(膝が痛い、腰が痛いなど)をお持ちの場合には、整形外科の主治医の先生に、「運動しても良いか」「どの程度の運動なら安全にできるのか」を相談してから行うことを強くおススメします。
閉塞性動脈硬化症の治療② 薬物療法
Fontaine分類Ⅰ~Ⅳすべての段階で、薬物療法(薬を飲む、もしくは注射する治療)を行います。
FontaineⅠ~Ⅱbまでの方は、薬と運動療法の組み合わせで症状が消えることも少なくありません。
- 抗血小板剤(シロスタゾール、クロピドグレルなど);血液がサラサラになり、固まりにくくなる
- スタチン;血液中のコレステロールを減らし、プラーク(動脈硬化のかたまり)を安定化し、血管が詰まるのを防ぐ
- 血管拡張剤;血管を拡げて血液の流れを良くする
などの薬が用いられます。
閉塞性動脈硬化症の治療③ カテーテル治療
血管の中に風船のついた細い管(カテーテル)を入れて狭いところを広げたり、中からステント(金属の網でできた土管状の管)で裏打ちします。
カテーテル治療の良い点
- 一般的には全身麻酔の必要がないため身体への負担が少ないことが特徴です。
- また、同じ血管に対し繰り返し治療を行うことが可能です。
カテーテル治療の良くない点
- カテーテルを入れるために刺した血管の出血
- 治療した部分が血のかたまり(血栓;けっせん)で詰まる
などの合併症の可能性があります。
また、広げた部分が再び狭くなる(再狭窄・閉塞)ことが一定の確率で起こります。
場合によっては再治療が必要となります。
閉塞性動脈硬化症の治療④ バイパス手術
バイパス手術とは、詰まった、または狭くなった部分を避けるう回路を作る手術です。
う回路は、自分の血管(静脈)を用いる場合もあれば、人工血管を用いる場合もあります。
バイパス手術の良い点
自分の血管を用いたバイパス手術の成績はとても良く、一度の手術で死ぬまで血流が保たれることも多いです。
これは、カテーテル治療と比べた場合、非常に大きなメリットになります。
バイパス手術の良くない点
バイパス手術のデメリットとして
- 全身麻酔が必要な場合が多いこと
- 傷が大きくなり、身体への負担が比較的大きい場合があること
- 特に人工血管を使用したバイパス手術の場合、急に血栓でつまる可能性があること
- 自分の静脈を使うのには限界があること。
特に糖尿病などの患者さんの場合、静脈自体が痛んでいて思った長さのバイパスができないことがあること、もしくはつまった場合の再手術が難しい場合があること
などがあげられます。
まとめ
閉塞性動脈硬化症の治療は、自覚症状があるときに行います。
治療には
- 運動療法
- 薬物療法
- 血行再建(カテーテル治療、バイパス手術)
などがありますが、症状と状態をみて、適切な治療が選択されます。
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▼閉塞性動脈硬化症の重症タイプである重症下肢虚血、あなたは知ってますか?
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