キスで感染することがあるので別名「キス病」と呼ばれている「伝染性単核球症」。
原因はエプスタイン・バー(EB)ウイルスであることがわかっています。
今回は、「伝染性単核球症」にかかる危険性を少しでも減らすために
- EBウイルスとはどんなウイルスで、
- どんな人が感染しやすいのか?
についてまとめてみました。
>>>「伝染性単核球症」がどんな病気なのかについては、「キスで感染することがある病気「伝染性単核球症」について知る」にまとめてあります。
■目次
おさらい>伝染性単核球症の原因って?
「伝染性単核球症」の原因は、ヘルペスウイルスの仲間である「エプスタイン・バー(EB)ウイルス」です。
「伝染性単核球症」は、EBウイルスが初めて感染したときに発症する病気なのです。
>>>詳しくは「伝染性単核球症の原因となるEBウイルス、感染しやすい人はどんな人?」をごらんください。
「伝染性単核球症」の感染経路
EBウイルスは、人間のカラダのなかでは唾液(だえき=つば)の中で生きています。
つまり、感染源はEBウイルスに感染したヒトの唾液 です。
感染している人とのキスや飲み物の回し飲みなど、唾液を経由してほかの人に感染するのです。
残念ながら、一度感染したことのある人の唾液の中には、例え症状がなくても15~20%の割合で感染力のあるEBウイルスが住んでいるとされています。
今は症状がないから大丈夫、ということにならないのがEBウイルスの恐ろしいところなのです。
伝染性単核球症はどのくらいの確率で発症するの?
では、EBウイルスに感染したヒトは全員が「伝染性単核球症」になるのでしょうか?
これは、感染した年齢によって大きく違いがあることがわかっています。
乳幼児期の感染だと、症状が出るのは10%以下
日本で比較的多い乳幼児期の感染の場合、発症するのは感染した子どものの10%以下であるといわれています。
ほとんどのお子さんが無症状、もしくは非常に軽い症状しか出ないため、EBウイルスにかかったことに気がつかないことの方が多いかもしれません。
思春期以降の感染では35~50%が「伝染性単核球症」を発症する
ところが、思春期以降にEBウイルスに感染すると、35~50%が「伝染性単核球症」を発症するとされています。
しかも、初めてEBウイルスに感染した年齢が高いほど症状が重くなる 可能性が高いとされており、注意が必要です。
EBウイルスに感染しやすい人って、どんな人?
EBウイルスに感染するかどうか、そして感染する場合でもいつ感染するのかは、住んでいる国の衛生状態や生活習慣によって大きく異なります。
衛生状態の悪い国に住んでいたり、乳幼児期に密接した環境で過ごした場合、EBウイルスの乳幼児期の感染率が高くなるといわれています。
発展途上国では、乳幼児期に100%近くがEBウイルス抗体が陽性(感染したことがある)となります。
逆に先進国では学童期まで感染しないケースも少なくありません。
例えばアメリカでは、幼児期の感染率は20%と低く、逆に青年期で感染するケースが多いとされています。
ただし、同じアメリカでも社会経済的に低い階層では20~50%がEBウイルス抗体が養成との報告もあります。
EBウイルスに感染するきっかけって?
唾液の中にEBウイルスが住んでいるのはわかりましたが、人はどのようなきっかけで感染するのでしょうか?
乳幼児期と思春期以降では、感染する原因が異なります。
乳幼児期では、食べ物の口移し が最も多い原因として知られています。
ところが思春期以降では、感染理由のほとんどが、口対口のキスであるとされています。
キス以外の感染の原因としては、
- 飲み物の回し飲み
- 箸やスプーン・ハンカチなど、唾液がついている可能性のあるモノの使いまわし
などがあります。
日本ではどのくらいの人がEBウイルスに感染するの?
日本は先進国ですが、比較的EBウイルスの感染率が高い国として知られています。
以前は、3歳までに70~80%が感染するといわれていました。
これは、欧米との生活習慣の違いに原因があるとされています。
日本では昔、赤ちゃんに
- 離乳食などの食べ物をお母さんから口移しで与える
- お母さんの口で一度柔らかくした食べ物を与える
といった習慣がありました。
これによって、お母さんの唾液の中にいたEBウイルスに感染することが多かったようです。
ところが最近は、日本でも市販の離乳食を使うことが増えて口移しをしなくなった、などの変化により、子どものうちにEBウイルスに感染しない人が以前よりも多くなりました。
子どものころに感染しなかった人が思春期以降になってEBウイルスに初めて感染し、「伝染性単核球症」を発症することが増えてきたのです。
それでも20歳代では90%以上がEBウイルスの抗体を持っている(=EBウイルスに感染したことがある)とされており、思春期に感染する率が上昇していること、そして相変わらず日本はEBウイルスの感染率が高い国であることがわかります。
まとめ
「伝染性単核球症」の原因であるエプスタイン・バー(EB)ウイルスは、唾液を介して感染します。
- 乳幼児では食べ物や飲み物の口移し
- 思春期以降では口対口のキス、飲み物の回し飲み、箸やスプーンなどの使いまわし
が最も多い原因の一つです。
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