- 夜中に目が覚めたら、胸がドキドキした。
- 一生懸命走ったら、胸がドキドキした。
- テレビをみていたら恐ろしい場面が突然出て、胸がドキドキした。
- 寝不足で学校に行ったら、胸がドキドキした。
- 会社で上司に叱られた時、胸がドキドキした。
- 好きな人と目が合ったら、胸がドキドキした。
あなたも、一つくらいは上のようなシチュエーションに覚えがあるのではないでしょうか?
「胸がドキドキする」というのは、
医学用語でいうと「動悸(どうき)」という症状です。
循環器内科へ来られる患者さんのうち、非常に多い割合を占める症状のうちの一つです。
動悸を感じると、
何か悪い病気かもしれない…、どうしよう?
これって、不整脈が出たんじゃない?
と焦って病院に飛んでくる方が結構多くみられます。
ですが、「胸がドキドキする」といった症状で命に関わるほど危険な病気が潜んでいる確率は、それほど高くありません。
それどころか、病気ではないことの方が多いくらいです。
今回は、「胸がドキドキする」というときに考えられる病気や見分け方のポイントについて説明します。
■目次
「動悸」とはどんな症状を指すのか?
動悸とは、
日ごろ自覚することのない心臓の拍動を自覚し、不快と感じること
を指します。
「心臓の拍動を自覚」するというと難しく感じがちですが、
書いて字の通り「ドクン」と1拍分だけ鼓動を感じる時もあれば、
「ドクドクドク」と連続して感じる時もあります。
「胸がドキドキする症状(動悸)」には、種類が2つある
ちょっと見逃しがちなのですが、「胸がドキドキする」症状には
・脈自体が乱れて、不規則に打っている(=不整脈)
・脈拍は規則正しく打っているが、いつもよりも強く感じる
の2種類があります。
このうち、循環器内科で治療の対象となるのは
・脈自体が乱れて、不規則に打っている
場合です。
動悸の原因となる病気は、こんなにたくさんある
では、動悸はどうして起こるのでしょうか?
病気で起こることもありますし、そうでないこともあります。
動悸の原因となる病気を下に並べてみます。
1 心臓の病気
不整脈(心房細動、期外収縮、心室頻拍など)
詳しくは↓の記事にまとめました。
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2 心臓以外の病気
・鉄欠乏性貧血・慢性骨髄性白血病など貧血を生じる病気
・甲状腺機能亢進症・低血糖症・褐色細胞腫
・慢性閉塞性肺疾患
・更年期障害・起立性低血圧症
・パニック障害・過換気症候群・心臓神経症・不安神経症 など
3 病気ではないもの
・過労、睡眠不足、ストレスなど
健康な人でも、疲れや睡眠不足などが続くと、動悸を感じることがよくあります。
また、血圧が上がった時に動悸を感じる方もいます。
特に多いのが、精神的な要因で動悸を訴える場合です。
この場合、循環器的、または内科的に大きな問題がなければ、
精神科もしくは心療内科の受診をおススメすることもあります。
危険な動悸はどこで見分けるか?
不整脈などが原因の「危険な動悸」と、そうではない放置しても良い動悸を見分けるポイントはどこにあるのでしょうか?
(ちなみに医師がよく使う「危険な」という意味は、「命に関わる」という意味で捉えていただくと良いと思います。)
1 どういう時に動悸がして、いつ治まるのか
動悸の起こり方やタイミング、持続時間などは、動悸の原因となる病気を突き止める上で大変重要なチェックポイントです。
動悸の症状でお困りの方は、以下の点に気をつけて症状をまとめておくと、診察の際に役に立ちます。
・起こり方・治まり方は突然かどうか?
・脈はどう打っているのか(規則的?)
・いつ多い?(体を動かしたとき時、日中、夜中・明け方、仕事の時など・・・)
・どのくらいの時間続くのか?(持続時間。一瞬?数秒?数分?数時間?数日?)
2 随伴(ずいはん)症状を伴うか
随伴症状とは、「本来の症状と一緒に出てくる症状」のことをいいます。
以下のような症状が動悸と一緒に出てくることがあります。
めまい(ふわーっとするめまい)
眼前(がんぜん)暗黒感(=目の前が暗くなる感じ)
失神(意識を失う)
このような場合は、身体の病気に伴う動悸の可能性があります。
一度循環器内科で精密検査を受けてみることをお勧めします。
3 既往歴、家族歴、喫煙歴を確認する
これらは、病院に行くと問診で必ず聞かれる点です。
問診票にもたいていこれらの項目の記載がありますが、真面目に書いてくれる患者さんは少ないのが現状です。
昨今は個人情報保護の観点もあり、あまり込み入ったことは聞きたくないのが本心ですが、それでもこれらの項目をお聞きするのには理由があります。
既往歴(かかったことのある病気、もしくは今治療を受けている病気)
家族歴(血のつながった人(両親、兄弟姉妹)がかかったことのある病気)
喫煙歴(タバコを吸っているか?もしくは以前吸っていたことがあるか?)
は、いずれも、病気の起こる確率を推定するのに大きなヒントをくれる項目だからです。
例えば、動悸を訴えて病院に来られた場合。
死に至る不整脈(心室頻拍(頻拍)・心室細動)の原因として多いのは、虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)です。
既往歴に高血圧・脂質異常症・糖尿病がある方、血縁者に狭心症・心筋梗塞にかかったことがある人がいる方、喫煙歴のある方は、そうでない方に比べて虚血性心疾患にかかる確率が明らかに高いことがわかっています。
ですので、それらの要素をお持ちの方は、そうでない方に比べて入念な検査が必要となるのです。
まとめ
動悸とは、「日ごろ自覚することのない心臓の拍動を自覚し、不快と感じること」を指します。
不整脈などの心臓の病気でも起こりますし、貧血や甲状腺機能亢進症など、心臓以外の病気で起こることも多いです。
また、健康な人でも、過労や睡眠不足、ストレスなどの精神的な要因で動悸を訴えることが良くあります。
動悸のときに、
- 目の前が暗くなる
- 意識を失いそうになる
といったことがある場合、身体の病気による動悸の疑いがありますので、一度循環器内科で検査を受けてみることをお勧めします。
以上、「【動悸】胸がドキドキするのは、悪い病気のせいですか?」でした。
☆そのほかにも、気になる症状を集めました。
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