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<受動喫煙>自民、厚労省案認めず 対策後退必至~毎日新聞より

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平成29年4月14日、毎日新聞のサイトに以下のような記事が掲載されていました。

受動喫煙
自民、厚労省案認めず 対策後退必至

受動喫煙対策を強化する健康増進法改正に関し、自民党は、小規模なバーなどを除き原則禁煙とする厚生労働省案を認めない方針を固めた。「厳しすぎる」との党内の反発を考慮した。2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、同省は今国会で法改正したい考えで受動喫煙対策はさらに後退することになりそうだ。

毎日新聞 https://mainichi.jp/articles/20170414/k00/00m/010/174000c より

■目次

「受動喫煙」とは?

そもそも「受動喫煙」って、どんな状態のことを指すのでしょうか。

健康増進法第25条(=受動喫煙の防止を義務付けた法律。ただし罰則規定はない。)によると、「受動喫煙」とは、「室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされること」と定義されています。

あまり触れられていないのですが、この定義には、言外にいろいろな要素が含まれています。

室内またはこれに準ずる環境」=煙が一定の濃さ以上になりやすい。屋外で隣の人がタバコを吸っても、あまり煙たい感じがせず、よほど近い距離でないと、普通の人は咳き込んだりしないはずです。

これは、タバコの煙が一定の濃さに達すると健康被害がでる、ということです。

他人のたばこの煙 」=副流煙

自分で吸ったタバコの煙ではなく「他人が吸っているタバコの煙」ということは、「副流煙」を意味します。自分で吸った煙(主流煙)と副流煙は成分が違うといわれており(詳しくは後日解説します)、副流煙の方が健康被害を起こしやすいとする報告も複数あるのです。

吸わされる」=『タバコを吸わない人(非喫煙者)がタバコの煙を強制的に吸わされる、ということです。

『』の部分を省いているので分かりにくい話になってしまっていますが、要は「閉じた部屋の中でタバコを吸っている人がいると、吸いたくない人まで(本人の意思にかかわらず)副流煙を吸ってしまう」ということです。

ここが、愛煙家の方やタバコ関係の方がよくいう自主性」を重んじる、ということとかけ離れてしまうのです。

タバコの煙を吸いたくない人にとって、同じ部屋でタバコを吸われると、その部屋にいる限り「タバコの煙を吸わない」という「自主性」および「選択肢」は与えられないのです。

また、近頃では「三次喫煙」という概念も登場してきているようです。

三次喫煙」とは

副流煙中に含まれるニコチンなどの化学物質が、室内の壁紙などに吸着し、その後、室内のガ ス成分と反応し、有害化学物質のニトロソアミンとなって室内に放出され、これを曝露されること

クリックして010.pdfにアクセス

Sleiman M, Gundel LA, Pankow JF, Jacob P III, Singer BC, Destaillats H. Formation of carcinogens indoors by surface-mediated reactions of nicotine with nitrous acid, leading to potential thirdhand smoke hazards. Proc Natl Acad Sci USA 107:6576-6581, 2010.

という比較的新しい概念であり、吸ったタバコの害が部屋の中に長時間残ることを意味します。

日本は受動喫煙防止後進国?

しかしながら、日本ではまだ受動喫煙を防止することに対する意識が低いようです。

日本の受動喫煙対策「前世紀並みに遅れ」 WHOが視察

たばこ規制政策の専門家が来日し、日本の受動喫煙対策を「前世紀並み」と表現しました。

朝日新聞デジタルよりhttp://www.asahi.com/articles/ASK4G5V8CK4GUPQJ00G.html

先日来日した世界保健機関(WHO)の生活習慣病予防部長であるダグラス・ベッチャー氏は、東京都港区新橋にある飲食店街を視察し、上記のような感想を述べました。

朝日新聞の同じ記事によると、日本はタバコのポイ捨てややけど対策から屋外が先に禁煙となりましたが、ほとんどの諸外国は逆に、屋内から完全禁煙を実施しているそうです。

2004年にアイルランドが屋内の公共空間を禁煙にして以来、世界では15年までに49カ国が屋内完全禁煙法を定めています。

「とても大きな変化です。すでにブルキナファソやネパールのような四つの低所得国でも最高基準の屋内完全禁煙法が施行されました。中所得国でも同様に30カ国で達成されています。日本がいかに取り残されてしまっているかが分かるでしょう。飲食店の一部に喫煙室が設けられる厚労省の案では、いまいる最下位のグループから、2番目に低いグループになるだけです」

朝日新聞デジタルよりhttp://www.asahi.com/articles/ASK4G5V8CK4GUPQJ00G.html

 

その厚生労働省案ですら、自民党内の愛煙家の声でかき消されそうな国、日本。

実は我が国も、WHOによる『たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約(たばこ規制枠組条約)』を平成16年6月8日に受諾しており、この条約は平成17年2月27日に発効しています。

『たばこ規制枠組条約』は、受動喫煙や未成年へのたばこの販売などへの対策を求めたものです。

受動喫煙防止に対する法案は、たばこに関係する職業や飲食店業界に影響が大きい法案であり、これらの職業で生計を立てている方も多数おられることは承知しておりますし、政治家としてはそのような方々にも配慮する必要があることは理解できますが、

「自民党「愛煙家」議員暗躍!受動喫煙対策法案は骨抜きに」より引用

「なかでも、1日約60本吸うヘビースモーカーの竹下国対委員長は『煙草大好き人間としては、全エリアで禁煙にすると言われたら、どうやって生きていけばいいのかという思いだ。できれば法案は出てきてほしくない』と公言するほど。本来なら法案成立の前線指揮官であるはずの国対委員長がこの姿勢では、審議が進むはずがありません」

ダイヤモンド・オンライン
http://diamond.jp/articles/-/123485?page=2

という大変情けないお話までがまことしやかに出てくる始末。

(この話が本当であれば、立派な「ニコチン中毒」ですので禁煙外来の受診をお勧めしたくなりますね。)

たばこを酒と同様の「嗜好品」と位置づけ、「嗜好品を嗜むのは個人の自由であり、権利でもある」という主張も主にネットを中心に見かけるようですが、たばこと酒の一番の違いは、「そばにいる他人の健康に悪影響を与えるかどうか」だと思っています。

「個人の自由」および「権利」を守ることも大変重要なことですが、大人の持つ「権利」には他人を尊重するという「義務」もついてくることを忘れないようにしたいところです。

五輪開催国としても、世界が認める対応を取るべき時期だと思います。

法案審議の行方をじっくりと見守りたいと思っています。

 

 

 

 

 

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