今日は、タイトルのような質問をいただきました。
結論から言うと、『「コンタクト用」と明記してある目薬以外は、コンタクトを外して差す』ことをお勧めします。
■目次
コンタクトレンズの種類
コンタクトレンズには、「ハードコンタクトレンズ」「ソフトコンタクトレンズ」の2種類があります。
人気の「使い捨てコンタクトレンズ」は、「ソフトコンタクトレンズ」の仲間です。
この2つの違いは大きくいうと、「レンズの中に水を含むか、含まないか」という点にあります。
「ハードコンタクトレンズ」はレンズの中に水を含みません。
「水を含まない」ため、着け心地はあまりよくありません。
慣れるまで目に痛みや大きな違和感を感じる方が非常に多く、これが原因で「ハードコンタクトレンズ」装用を諦めるケースも多いです。
ですが、この「水を含まない」というのがハードコンタクトレンズの大きな利点なのです。
- 「水を含まない」ので、雑菌が繁殖しにくい→手入れが簡単
- 「水を含まない」ので、酸素を通しやすく眼に優しい
- 「水を含まない」ので、レンズが硬い→①長持ちしやすい ②ピントが合わせやすく、乱視にも対応可能
「ハードコンタクトレンズ」の弱点は、
レンズが硬いことによる違和感のほか、小さいためレンズがずれやすく、スポーツなど激しい衝撃でレンズが外れる・もしくは割れることがある、くらいかもしれません。
装用感が問題なければ、医師としては「ハードコンタクトレンズ」の使用をお勧めします。
「ソフトコンタクトレンズ」はレンズの中に水を含んでいます。
「水を含む」ので、装用感が良く、非常に人気があります。
GfK ジャパン社が行った日本の調査では、以下の通り「ソフトコンタクトレンズ」、特に「使い捨てコンタクトレンズ」の使用者が多いです。
1日使い捨てレンズが40%、2週間使い捨てレンズが30%、ハードコンタクトレンズが19%を占めた。
GfK ジャパン社 プレスリリース「コンタクトレンズ利用実態調査」よりhttp://www.gfk.com/jp/insights/press-release/dc9028/
しかしながら、よりよい装用感の元となっている「水を含む」ことが、ソフトコンタクトの大きな弱点ともなっています。
- 「水を含む」ので、雑菌が繁殖しやすく眼の感染症の原因となりやすい
- 「水を含む」ので、手入れが面倒(水道水が使えない →これら2つの欠点解消のために「使い捨てコンタクトレンズ」が普及しています。
- 「水を含む」ので、時間とともにレンズが乾くと眼から水を吸い取ってしまう→眼が乾きやすい
- 「水を含む」ので、レンズが柔らかい→①レンズが破れたりなど破損しやすい ②装用感がよいので、眼に傷がついても気が付かないことがある
「ソフトコンタクトレンズ」をお勧めする場合としては、「ハードコンタクトレンズ」の装用に耐えられない場合、もしくは激しいスポーツをする場合などの限られたケースです。
「水を含む」ので、普通の目薬は使えません。
この、レンズの中に「水を含む」という性質が、目薬が使用できない理由です。
眼の中に入れた目薬が、レンズの中に吸収されてしまうのです。
目薬がレンズに吸収されると、レンズが変色したり、吸収された薬剤が長い時間眼、特に眼の表面にある「角膜」に触れることで、眼に障害を起こす可能性があります。
また、レンズの寿命が縮む可能性もあるようです。
「塩化ベンザルコニウム」入りには要注意
特に「塩化ベンザルコニウム」もしくは「ベンザルコニウム塩化物」という表記のある目薬は、使用を控えた方が良いでしょう。
「塩化ベンザルコニウム」は防腐剤(腐りにくくするためのクスリ)であり、大抵の目薬に含まれる成分です。
目薬を普通に差した場合、眼に対する影響がないことを確認の上で販売されているものですが、コンタクトレンズに吸収された分が長時間眼の中に残った場合、角膜上皮障害をきたすといわれています。
市販の目薬の箱には必ず成分表記がありますので、確認してみると良いと思います。
病院で処方される目薬にも、大抵は含まれている成分です。
(『アレジオン』点眼液を除く。『アレジオン』点眼液の防腐剤は「リン酸水素ナトリウム」に変更されているようです。)
「ハードコンタクトレンズ」だったらいいの?
「水を含む」から目薬も吸収しちゃう→だったら、「ハードコンタクトレンズ」はいいの?
というのは、当然の疑問だと思います。
結論から言うと、これもあまりお勧めしません。
最近の「ハードコンタクトレンズ」は酸素が通りやすいように見えない孔が空いていることがほとんどであり、その孔に薬剤が吸収されてしまう可能性があります。
「使い捨てコンタクトレンズ」だったらいいの?
じゃあ、すぐに捨てちゃう「使い捨てコンタクトレンズ」だったらいいの?
という意見もあるかもしれません。
これについては、正確な検証がなされていないようです。
2週間使い捨てタイプだと、毎日点眼すればその分の薬剤が吸着するので非常に眼に悪そうですよね。
1日使い捨てタイプであれば問題ない、という意見もあるようですが、これはまだ学会で確証を得た意見ではないようです。
当面の間、「コンタクトをしたまま点眼OK」と明記された物以外は、コンタクト使用中は点眼しないことをお勧めします。
追記
- 主治医の先生から、上記以外の指示がある場合には、その指示に従いましょう。
- 用法・用量はかかりつけの主治医の指示を守り、正しくお使いください。
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