女性であればだれでも、
- 生理前にお腹が痛くなったり…
- 胸が張ったり…
- 何となく気分がゆううつになったり…
- 逆に何だか妙にイライラしたり…
なんて感じたこと、一度はあると思います。
これは、だれにでもあることですが、度が過ぎれば立派な病気といえます。
この病気は、PMS(月経前症候群)と呼ばれています。
今回は、このPMSについて、どんな病気か、またどんな症状が出やすいかを詳しく説明します。
■目次
1.PMSってどんな病気?
PMS(Premenstrual Syndrome)は、日本語では「月経前症候群」といわれている病気です。
30歳代の女性に比較的多いといわれていますが、生理がある人ならだれでもかかる可能性があります。
1-1 PMSの学問的定義
日本産科婦人科学会から刊行されている産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2014によると、
PMSとは
月経前3~10日間の間の黄体期に続く精神的あるいは身体的症状で
月経発来とともに減弱あるいは消失するもの産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2014
とされています。
ポイントは
- 月経(生理)周期に連動して起こる
- 症状は、精神的なものと身体的なものの両方がある
- 生理が来たら、症状が楽になる
の3点です。
このうち、イライラやうつ状態などの精神症状が強く、
日常生活に支障をきたす状態のことを
月経前不快気分障害
(PMDD;Premenstrual Dysphoric Disorder)
と呼んで区別することもあります。
1-2 PMSの症状
実にたくさんの症状があることがわかっているPMS。
多い順に、
イライラ、のぼせ、下腹部膨満感、下腹痛、腰痛、頭重感、怒りっぽくなる、頭痛、乳房痛、落ち着きがない、憂鬱の順
産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2014
であるとされています。
1-2-1 PMSの症状は年齢によって異なる
日本の別の調査では、年齢によって起こりやすいPMSの症状が異なることがわかっています。
20歳代後半では、頭痛,肩こり,乳房の張り,イライラ
30歳代前半は
①20歳代後半とくらべ、むくみ,アレルギー,攻撃的になる症状
②30歳代後半・40歳代前半とくらべ、頭重,食欲増加,一人でいたい
の各症状が多かった
と報告されています。
参考;E.婦人科疾患の診断・治療・管理
Diagnosis, Treatment and Management of Gynecologic Disease
9.11)月経前症候群(Premenstrual syndrome:PMS)
日本産科婦人科学会誌 61巻12号 N―657~N―663
1-2-2 PMSの診断基準(米国産科婦人科学会)
日本にはPMSの具体的な診断基準がないのでアメリカのものを利用しています。
米国産科婦人科学会では、PMSの症状を身体症状(身体の症状)と精神症状(ココロの症状)に分けて、具体的な診断基準を出しています。
1.過去3か月間以上連続して,月経前の5日間に以下の症状のうち少なくとも1つが存在すること
情緒的 ;抑うつ 、怒りの爆発 、いら立ち、不安 、混乱、社会からの引きこもり
身体的;乳房圧痛、腹部膨満感、 頭痛、四肢のむくみ
2.月経開始後4日以内に症状が解消し,13日目まで再発しない.
3.症状が薬物療法やアルコール使用によるものでない.
4.診療開始も3か月間にわたり症状が起きたことが確認できる
5.社会的あるいは経済的能力に、明確な障害が認められる.
1-3 PMSの原因
現在のところ、はっきりとした原因はわかっていませんが、以下のような説があります。
- セロトニンの働きに異常がある
- GABAの働きに異常がある
- ビタミンB6の不足
(ビタミンB6が足りなくなると、セロトニンが作られなくなります)
また、同じ女性でもPMSの症状を感じる人と感じない人がいます。
1-4 PMSの頻度
女子会などで、よく生理前後の体調の悪さや変化の話で盛り上がることがありますよね。
日本では、まだPMS自体の知名度が低いため、
「自分の症状がPMSである」と知らない人も多いのですが、
おそらくそのうちのかなりの部分がPMSだと思われます。
では、実際にどのくらいの女性がPMSに悩んでいるかというと、
日本では、生理がある女性の50~80%が月経前に何らかの症状で悩んでいる、というデータもあるようです。
そのうち、治療が必要となる(もしくは治療を希望する)のは3~7%程度です。
2.PMSと診断するポイント
PMSであると診断をするためには、
ほかの病気の疑いがないことを確認する必要があります。
また、PMSのうち、
- 身体の症状がメインなのか
- ココロの症状がメインなのか
によって、治療方針が異なります。
2-1 PMSかどうかを知るために
まず、症状日記(PMSノート)をつけてみることをおススメします。
PMSの場合、生理不順がないということが非常に重要なポイントです。
できれば、基礎体温とともにその日の症状をつけてみるとよいでしょう。
婦人科に行くときにも、とても大切な情報となります。
2-2 PMSと間違いやすい病気
PMSと同じような症状が出る病気と見分けるポイントには、
下のようなものがあります。
症状が月経開始後まで続く場合:
- 原発性月経困難症
- 続発性月経困難症 子宮内膜症、子宮筋腫など
症状出現時期がはっきりしない(生理と関係あるかどうかわからない)場合:
うつ病など
症状の出現が閉経後(生理があがったあと)の場合:
更年期障害、うつ病など
また、PMSではないけれども生理前に症状が重くなる病気として
以下のようなものがあります。
1.月経困難症(機能的,器質的)
2.うつ病片頭痛
3.不安障害(anxiety disorder):パニック障害(panic disorder)を含む
4.周期性乳房痛(cyclic mastalgia)
5.けいれん性疾患
6.気管支喘息
7.慢性疲労性症候群
8.アレルギー
9.甲状腺機能異常
10.副腎機能異常
11.閉経への移行時期参考;E.婦人科疾患の診断・治療・管理
Diagnosis, Treatment and Management of Gynecologic Disease
9.11)月経前症候群(Premenstrual syndrome:PMS)
日本産科婦人科学会誌 61巻12号 N―657~N―663
それぞれの病気に応じて適切な治療法は異なりますので、
心配な方は一度婦人科を受診してみると良いでしょう。
3.PMSになりやすい人って、どんな人?
実は、ある程度PMSになりやすい人、なりにくい人がいます。
PMSの症状には、月経周期のホルモンの変動などのほかに、
ストレスや過労など、日常生活から来る要素もかなり関係しています。
PMSを比較的起こしやすい性格というのも知られており、
下のような性格のくせをお持ちの方は、
比較的PMSになりやすいとされています。
- 真面目
- 自分に厳しい
- 几帳面
- 完璧主義
- 負けず嫌い
- こだわりが強い
- 我慢強い
- りちぎ
あなたはいくつ当てはまりましたか?
このほかにも、生活が不規則な人、炭水化物ばかり取っている人なども、PMSになりやすいようです。
まとめ
PMSの症状には、身体の症状と心の症状があります。
- 身体の症状には、乳房が痛い、お腹が張る、 頭痛、四肢のむくみなど
- 心の症状には、気分の落ち込み 、怒りの爆発 、いら立ち、不安 、混乱、社会からの引きこもり
などがあります。
以上、「【PMS】PMS(月経前症候群)って、どんな症状がでるの?」でした。
コメント