熱中症は、誰にでも、そしてどこにいても起こる可能性のある病気です。
そして、熱中症といえども、手当てが遅れて重症化すると、後遺障害が残る可能性のある恐ろしい病気です。
ということで、熱中症にかかった人を見た場合、一番大切なことは
この人の熱中症はどのくらい重症なのかを見分ける→これ以上悪化させない
ということです。
[chat face=”profile-nico100.jpg” name=”YURALICA” align=”left” border=”red” bg=”red”]「重度の熱中症かどうか」を見分ける簡単な基準は、ズバリ症状です。 [/chat]
今回は、熱中症の重症度を知り、今すぐに病院での治療が必要なレベルの熱中症かどうかを見分けるコツについて説明します。
▼熱中症について詳しく知りたい方は、まずこちらをどうぞ。

■目次
ちょっと古い熱中症の分類~重症度ではなく症状で分けていた
ここ数年、熱中症の診療は大きく変わっています。
熱中症は、以前は症状によって概ね以下のように分けられていました。
(情報が古いサイトだと、今でも下の分類法によって説明がされています。)
熱失神(heat syncope) |
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熱痙攣(けいれん)(heat cramps) |
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熱疲労(heat exhaustion) |
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熱射病(heat stroke) |
|
この分類は、昔から利用されている分類法です。
見た目の症状から、「身体の中で今何が起こっているのか」を知るのには非常に役に立ちました。
いわゆる「熱中症」の最重症型は上記のうちの「熱射病」であり、これは上に挙げた通り
- 体温上昇(40℃以上)
- 発汗停止・皮膚の乾燥
- 意識障害
の3つがそろわないと診断できませんでした。
ところが、この分類法で「熱射病」と診断されるのは本当に最重症の人だけです。
最重症までは至っていないけれども、「すぐに」対処しないと症状が重くなってしてしまう人を見逃す可能性がある、ということがわかりました。
そこでできたのが、日本救急医学会が中心となって策定した新しい熱中症の重症度分類です。
新しい熱中症の分類~重症度で分ける
新しい熱中症の重症度分類は、以下の表のように最も軽いⅠ度~最重症のⅢ度に分かれています。

出典:熱中症診療ガイドライン2015
熱中症で病院へ行くかどうかのポイントとなる症状は、意識障害
一般の方が覚えておくと役に立つポイントを赤字で示しておきました。
主な症状とポイント | 対処 | |
Ⅰ度 | めまい、立ちくらみ、あくび、汗を大量にかく、筋肉痛、こむら返り(足がつる)など
意識障害がない=比較的軽い |
現場で対処可能
改善しなければ病院へ |
Ⅱ度 | 頭痛、吐き気・嘔吐、身体のだるさ、力が入らない感じ、ぼーっとしているなど
集中力・判断力の低下がある |
すぐ病院を受診 |
Ⅲ度 | 1~2分以上の意識消失、ふらつき、けいれん、うわごとや訳の分からないことを言う、など=重症
採血にて肝臓・腎臓に障害がある 採血にて血液凝固異常がある(最重症型) |
入院が必要 |
新しい熱中症の重症度分類を使う際の注意点
ここで、新しい熱中症の重症度分類を使うときに気をつけたいポイントを整理します。
高熱があるかどうか?体温を測るときに気をつけたい点
この重症度分類には入っていませんが、深部体温(直腸温)で39℃以上あれば熱射病の疑いがかなり強くなります。
直腸温は、直接肛門に体温計を挿し入れて測りますが、やり方を間違えると肛門や腸を傷つけることがありますので、ご家庭で測るのはあまりお勧めしません。
- 直腸温を測りたくなるほど身体が熱い
- 意識がおかしい
という場合は病院を受診しましょう。
ちなみに、脇の下で測る体温は「腋窩温(えきかおん)」といい、38℃以上で熱中症を疑います。
ただし、腋窩温は脇の下を冷やしていると当然低めに出ますので、参考程度としてください。
症状を観察するときに気をつけたい点
熱中症の症状は、時間とともに刻々と変化します。
場合によっては、非常に短い時間で意識障害が出てくる、ということもよくあります。
- 身体を冷やす
- 水分と塩分を補給する
- 安静にする
などの応急処置を行いながら、注意深く症状を観察してください。
最初はⅠ度に当てはまる軽い症状であっても、
- 応急処置をしても症状がぜんぜん良くならない
- 意識障害がでてきた
などがあれば、すぐに病院を受診しましょう。
まとめ
熱中症は、症状によって重症度が分かれます。
一見何ともないようにみえても、
- 身体に力が入らない
- ぼーっとしている
- 集中力・判断力の低下がある
- けいれん・ふらつき・意識消失
など、意識障害を疑う兆候があれば、すぐに病院を受診することが必要です。
▼熱中症について知りたい方は、こちらもどうぞ。

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