夏が近づき、暑い日が続くようになると、TVやネットで必ず目にするのが「熱中症」という言葉です。
何となく、暑さでぼーっとしたりすると「これって熱中症???」なんて思うけど、実は熱中症ってどんな病気なのか知らない、という方も多いのではないでしょうか。
今回はまず、熱中症診療ガイドライン2015 日本救急医学会をもとに、
熱中症はどんな病気か
を知ることから始めたいと思います。
■目次
熱中症とは?
そもそも熱中症とは、
*体内での熱の産出と熱の放散のバランスが崩れて、
体温が著しく上昇した状態*暑熱環境における身体適応の障害によって起こる状態の総称
のことを指します。
人間の体温は、平均で36.9℃といわれています。
この体温は、身体の中で熱を起こすことによって生まれています。
外気温がある程度低いと、身体から出た余分な熱は周りの空気に溶けていきます。
ところが、外気温が体温と同じくらい、もしくは体温よりも高くなると、身体から余分な熱を出すことができなくなります。
外に出せなくなった余分な熱は、身体のなかにたまってしまい、体温を上げてしまいます。
この状態を熱中症というのです。
熱中症にかかる人はどのくらいいるの?
こんなに身近になった熱中症ですが、日本で1年間にどのくらいの人が熱中症にかかるのでしょうか?
熱中症診療ガイドライン2015 日本救急医学会に、全国の医療機関から集めたデータがありました。
平成25年6月から9月までの4か月間に
熱中症関係の病名で医療機関を受診した人は、 407,948 人
うち65歳以上の高齢者は 184,834 人(全体の45%)
このうち、入院を必要としたのは 35,571 人(全体の8.7%)
死亡したのは 550 人(全体の0.13%)
うち65歳以上の高齢者が 474 人(死亡の86%)
でした。
年間に40万人以上の人が熱中症で病院に行き、550人が死亡すると考えると、熱中症にかかる人は想像以上に多いことがわかります。
そして、医療機関を受診した人のうち、10%弱が入院を必要とするほど病状が重たかったというのは、見過ごせない事実です。
▼熱中症の症状と重症度についてはこちらをチェック

熱中症になりやすいのは、どんな人?どんな時?
では、どんな人が、そしてどういう条件がそろうと熱中症になりやすいのでしょうか?
日本救急医学会の統計によると、
発症時期→梅雨明け後、7 月中旬から8 月上旬にかけてがピーク
発症時刻→12 時および15 時前後
天気→晴天
性別→男性
に多いことがわかっています。
さらに細かく見ていくと、
- 若年男性→スポーツ
- 中壮年男性→労働(農林、土木、製造業などの肉体労働)
で発症することが多いです。
高齢者の熱中症は、若者とちょっと違う。
高齢者の熱中症は、若い人とちょっと違います。
日常生活で起こる熱中症(非労作性熱中症)が多く、
屋内で発症する人が増えています。
この場合は、屋外で発症しやすい労作性熱中症と比べると
高齢の女性、独居に多く、
精神疾患、高血圧、糖尿病、認知症などの基礎疾患を有する症例は重症化しやすい。
ということがわかっています。
また、高齢者ではエアコンを設置していない、もしくは設置していても使っていないケースが多く、このような場合は重症化しやすいこともわかりました。
▼熱中症をおこしやすい気象条件についてはこちらから
熱中症の症状は?
熱中症の症状は、いろいろあります。
下に、代表的なものをあげておきます。
- めまい
- 失神(立ちくらみ)
- 生あくび
- 大量に汗をかく
- 口が渇く
- 筋肉痛
- こむら返り
- 頭痛
- 吐き気・嘔吐
- 身体のだるさ
- 力が抜ける感じ
- 意識障害
- けいれん
- せん妄(意識が混乱し、興奮して,話す言葉やふるまいに異常が見られる状態)
- ふらつき・激しいめまい(小脳失調)
- 高体温
そのほか、重症の熱中症では、
脳、肝臓、腎臓、心臓、肺、血液など、全身の各臓器の障害がみられます。
▼熱中症の症状と重症度についてはこちらをチェック

熱中症の治療
熱中症の治療の基本は
- 適切な水分補給
- 身体を冷やす
ことです。
病院で行う治療としては、そのほかに重症の熱中症に対する集中治療があります。
【熱中症】病院では熱中症に対してどんな治療を行うの?
後日アップ予定
熱中症のときの水分補給のポイントについてはこちらをチェック
【熱中症】熱中症の予防と対処に有効な水分補給の方法
後日アップ予定
▼熱中症かな、と思ったときにすぐできることをまとめました。
熱中症の後遺障害とは?
熱中症が重症になると、主に中枢神経系(脳やせきずい)に障害が残ります。
詳しくはこちらにまとめました。
熱中症にならないために
人が熱中症になる要因は、
大きく分けて「環境」の要因と「身体」の要因に分けられます。
▼熱中症になる詳しいメカニズムについてはこちらをチェック
【熱中症】人はどうして熱中症になるの?
後日アップ予定
▼熱中症を予防するために、今できることをまとめました。
まとめ
熱中症は年間40万人以上がかかる、ありふれた病気ですが、年間数百人の死者がでる恐ろしい病気でもあります。
・熱中症の症状として、めまいやふらつき、汗をかくなどの軽いものから、重症になると意識障害やけいれん、肝臓や腎臓など各臓器の障害に至ります。
・重症の熱中症では、後遺障害が残ることがあります。
・熱中症の治療の基本は、水分補給と冷却です。
▼熱中症対策に!家庭に1本常備しておきたいですね。
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